【生活保護の話(全3話)・第2話】「それは違法です──“断られるのが当たり前”と思わされている現実」

【第2話】
「それは違法です──“断られるのが当たり前”と思わされている現実」
「何を言っても無駄だった。」
彼はそう言った。
でも、それは本当に“無駄なこと”だったのか。
私は改めて、生活保護申請の現場で何が起こっていたのか、
一つ一つ丁寧に確認してみた。
すると、彼が受けた対応は——
単なる冷たさや不親切ではなく、**法的にも許されない“不当な対応”**だった。
◆ 実際に拒否された理由と、それに対する法的評価
① 元配偶者の家が近くにある
→ 不当です。
離婚していれば法的な扶養義務は切れており、物理的距離は関係ありません。
生活保護法では扶養の「意志」と「能力」で判断することが定められており、「近いから」という理由で申請を断るのは、明らかな誤りです。
② 不動産屋が元奥様と同じだからダメ
→ 完全に違法です。
どの不動産会社を利用するかは、申請者の自由。
行政がそこに介入する法的根拠はありません。
③ 法律の本を出して違法性を説明してきた
→ これは職権乱用の可能性があります。
自分の権利を主張することは、当然の行為です。
それを理由に印象が悪い、態度が悪いと見なすことは、
憲法に定められた中立性、公務員の職務規範に反しています。
こうした理由で申請を断ることは、
**単なる判断ミスではなく、「制度を破壊する行為」**だと私は思いました。
◆ では、どうすればいいのか?
彼と話し合い、私たちは以下の行動を取りました:
文書で「申請を受け取ってください」と要求する → 申請拒否理由も書面で求めました(断れば違法です) 会話はすべて記録(録音・メモ)
→ 後に証拠として重要になります 支援団体・弁護士に相談する準備 → 法テラスや生活保護支援団体(POSSE等)にも事例を報告
申請の場面で、最も大切なのは——
「あなたが間違っていない」と誰かが言ってくれること。
彼は、自分を責めていたのです。
でも、悪いのは制度の運用のほうだった。
明日はいよいよ最終回
【生活保護の話(全3話)・完結編】「申請は通ったのか?はたして受け取れるのか?