【超限戦】第1話:「戦わずして制する」現代の兵法とは?「兵は詭道なり(戦とは騙し合いである)」

【超限戦】現代版・孫子の兵法は、すでに始まっている
第1話:「戦わずして制する」現代の兵法とは?
「兵は詭道なり(戦とは騙し合いである)」
――これは、紀元前500年ごろに記された『孫子の兵法』の冒頭にある一文だ。
武力で勝つのではない。
相手に戦う意志すら抱かせず、気づかないうちに勝っている。
これこそが、最も優れた戦略とされてきた。
■ すでに現実となった“戦わない戦争”
21世紀に入り、この思想は形を変えて現実化している。
その名も「超限戦(ちょうげんせん)」。
1999年、赤い国の人民解放軍2人の上級大佐が書いた一冊の本が発端だった。
そこには、こう明記されている。
「今後の戦争では、軍人だけでなく、金融家・ハッカー・商人・ジャーナリストが兵士となる」
「武器を持たず、法律、情報、経済、移民など、あらゆる手段を用いることができる」
これが現代版の“戦わずして勝つ”兵法であり、すでに私たちの足元にまで入り込んでいる。

■ 境界が消えた時代の戦場
かつて、戦争には明確な始まりがあった。宣戦布告があり、戦場があり、終戦があった。
だが超限戦においては、その境界は存在しない。
平時と戦時の区別は消えた 国家と民間の境界も消えた 軍事と経済、政治と情報が融合した
つまり、「いつ、どこで、誰と、どんな方法で戦われているのか」すら、一般市民にはわからない構造ができあがってしまった。
■ 「戦いの中心」は、あなたの中にある
この戦いでは、銃や爆弾は使われない。
代わりに狙われるのは、「あなたの思考」「生活習慣」「経済的依存」「無意識」だ。
たとえば――
いつの間にか中毒になっていた無料アプリ 安さにつられて選び続けた外国製品 疑うことをやめたテレビとニュース 「まあいいか」と受け入れてきた制度変更
それらの積み重ねが、国の在り方を根本から変えていく。
誰にも撃たれていない。だが、自分たちの意思で、社会の中枢が書き換えられていく。
これこそが、**「気づかせない兵法」**の怖さだ。
■ だからこそ、「戦わずにやられてはいけない」
孫子は言う。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
現代では、「敵」すら見えなくなっている。
だからこそ、まずは**“自分がいまどんな環境に置かれているか”**を見極めることが出発点だ。
■ 明日は第2話予告:「武器を使わない侵略」はなぜ見えないのか?
次回は、具体的にどんな手段が用いられているのか。
そしてなぜ、多くの人がその異変に気づかないまま生活を続けてしまうのか――
その構造と仕組みに迫ります。